ハラールという言葉をご存じでしょうか。
今や世界の宗教の第2位の勢力となっているイスラム教徒の戒律で「許されている」という意味の言葉です。
戒律が厳しいことでも知られるイスラム教を信仰する人のことをムスリムと呼び、今や世界の4人に1人がムスリムといえるほどに勢力を拡大しています。
そんなイスラム教徒の厳しい戒律に抵触しないハラル認証を受けた、日本製の食品や製品をご紹介いたします。
そもそも、ハラル認証とは
ハラル、ハラムの区別は原材料だけであれば容易に判断ができますが、私たちが購入する加工品などの製品には多くの調味料などが使用されているため、ハラルかハラムかどうかを見分けることは困難です。
そこで、宗教と食品衛生の専門家(ハラル認証機関)がハラルかどうかの検査をしてハラル性を保証するのが「ハラル認証」という制度です。
ハラル認証機関はどこに?
ハラル認証機関は世界に300以上あると言われています。
日本では現在わかっているだけで30以上のハラル認証機関が存在します。(ハラル・ジャパン協会 調査)
宗教法人 日本ムスリム協会 東京都品川区東五反田3-17-23 http://muslim.or.jp | 宗教法人イスラミックセンター・ジャパン 東京都世田谷区大原1-16-11 http://islamcenter.or.jp/ |
NPO法人 日本ハラール協会 大阪市平野区西脇1-1-2 ミヤコ三愛ビル http://www.jhalal.com/ | マレーシア ハラル コーポレーション株式会社 東京都新宿区四ツ谷4-32-1 吉岡ビル3F http://mhalalc.jp/ |
NPO法人日本アジアハラール協会 千葉県千葉市中央区松波2-6-2 SR千葉松波ビル2F http://web.nipponasia-halal.org/ | 京都ハラール評議会 京都府京都市上京区宮垣町92-1F http://www.halal-kyoto.net/ |
宗教法人 日本イスラーム文化センター / マスジド大塚 東京都豊島区南大塚3-42-7 http://www.islam.or.jp/ | ムスリム・プロフェッショナル・ジャパン協会 東京都新宿区四ツ谷4-32-1 吉岡ビル3F https://mpja.jp/ |
一般社団法人 日本ハラールユニット協会 福岡県福岡市早良区百道浜3-8-33 |
ハラル認証機関には問題も
ハラル認証に関しての一番の問題は世界的な統一基準がないということです。
判断基準や指導内容は認証機関や団体によって異なり、例えば、ハラル認証制度は原材料だけではなく製造環境にも対応が求められますが、工場全体をハラルの対象として判断する認証機関もあれば、実質的に交差汚染がなければ、ハラルでない商品を同じ工場内で製造していても、製造ラインごとに認証を出す認証機関もあります。
現在は一部の国を除き任意の制度であり、全世界に共通する有効な認証は無いため、認証を取得する際は注意が必要です。
2021年現在の日本でもまだ統一基準はなく許認可も届出も必要がないので、誰でも始められる状況です。
しかし、利用側からすれば、安心する材料は多いに越したことはありません。それらを踏まえて許認可の取得などを検討してみてください。
日本におけるハラル認証製品
ハラル認証製品やムスリム対応のサービスは年々増加の傾向にあります。
空港、高速道路、観光地における礼拝所の設置やムスリムフレンドリー(ハラール食推進活動)への取り組みは国や自治体も力を入れて来ています。
《食品》
・調味料(醤油、みりん、味噌、酢、和風だし、めんつゆ)
・ソース(たこ焼きソース、お好み焼きソース)
・たれ(すき焼きのたれ、焼き肉のたれ、うなぎのたれ、和食万能調味料など)
・マヨネーズ
・海苔、ふりかけ
・練りワサビ
・緑茶、抹茶、ほうじ茶
・鶏肉(国産)
・牛肉(和牛・国産)
・和菓子(あられ、せんべい、羊羹、まんじゅう、干し芋など)
・洋菓子(カステラ、クッキー、ケーキ、チョコレート、アイスクリーム、 ゼリーなど)
・ジュース及びノンアルコール飲料(ノンアルビール・ノンアル日本酒・甘酒など)
・小麦粉製品(生麺、パンケーキミックス、天ぷら粉、ラーメン、うどん、そうめん)
・カレールゥ
・お米、米加工品(米ゲル、米粉麺、米粉パンなど)
・大豆加工品(納豆、豆腐、油揚げ、味付けいなり、大豆ミート、大豆麺など)
・弁当
・レトルト製品(パスタソース、カレー、惣菜、非常食など)
・保存食(クッキー、パン、ケーキ、カレー、惣菜など)
・食パン、菓子パン
・ジャム
・ゼラチン
・有機酸(食品添加物)
・香料
・健康食品及び原料
・冷凍食品
≪その他≫
・化粧品(洗顔、化粧水、保湿クリーム、日焼け止めクリーム、美容液など)
・ヘアケア用品(シャンプー、ヘアミルクやオイルなど)
・石けん
≪ムスリム対応レストラン≫
・ハラル認証店
・ムスリム向けメニュー提供店(食材の情報開示、ムスリムフレンドリーなど)
≪ムスリム対応ホテル≫
・食事への対応(ハラル認証、ムスリム向けメニュー、ピクトグラム表示など)
・礼拝への対応(礼拝場所、時間などのお知らせ、礼拝グッズの貸出など)
≪施設のハラル認証≫
飲食・宿泊施設、と畜場、医療施設、工場及びライン、コンテナ及び保管倉庫など
ムスリムフレンドリーとは
国の事情を配慮してカスタマイズされた認証基準及び部分認証のことです。
日本でイスラム法に完全に則った、ハラル認証のサービスを実現させるには、豚やアルコールの排除はもちろんのことハラムなものを全て避ける必要があり、そのほかにも、ムスリムの雇用やスタッフの服装、施設の内装など、他にも様々な規定が定められています。
非イスラム圏である日本において、全ての基準をクリアすることは容易ではありません。
そこで考案されたのが施設の一部やメニューなどがハラルの一定基準をクリアしていることを証明した、ムスリムフレンドリーという部分認証です。
ホテルや学食、レストランなどで多くみられるのがこのタイプの認証で、肉などの食品にプリントされているハラルマークとは意味が異なります。
まとめ
簡単に説明してきましたが、僕らが意識しないだけでハラール認証を受けた食材やサービスなどはどんどん増えています。
大手企業ほど世界の情勢を見据えたアプローチを進め、コロナが明けた後にくる観光需要を取りこぼさないよう対応しているように感じます。ぜひこのブログをご覧の方もビジネス的な観点でとらえてみてはいかがですか。